最近ニュースでよく見かける「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」。
「患者数が増えた」「発症した場合患者の3割が死亡するとされる」「1999年に統計を開始してから過去最多」などの内容を何度もメディアで目にします。
特に今年はまだ6月にも関わらず、すでに去年の患者数を超えたことで大きな話題になっています。
その症状の壮絶さから「人食いバクテリア」と恐ろしい異名がつけられている感染症ですが、
・実際のどうしてそんなに患者数が増えたのか
・感染する原因は何か
・どういう初期症状があったら疑うべきなのか
・感染しないためにはどうすればいいのか。
こういった内容を今回は調べていきたいと思います。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは
1987年に米国で最初に報告された感染症。
A群溶血性レンサ球菌という菌が脂肪組織、筋肉、血液などに侵入することで重篤化したもの。
一般的にはA群溶血性レンサ球菌に感染しても無症候のことも多く、ほとんどは咽頭炎や皮膚の感染症にとどまるそう。
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日本では毎年100-200人の患者が確認されており、このうち約30%が死亡していてきわめて致死率の高い感染症の一つとして扱われている。
現在は「五類感染症」に分類されていて、「コロナ」も同じ「五類感染症」
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国立感染症研究所や厚生労働省などのHPでは、上記のように書かれていました。
どうやら本来であればそこまで危険性がないとされている菌ですが、身体の深いところ(血液や筋肉など)に何らかの原因で入ってしまうと、一気に重症化してしまうと現在の医学では証明されているようです。
症状
もしレンサ球菌という菌が血液などに侵入し、重症化していた場合、実際にはどのような症状があらわれるのでしょうか。
初期症状
数時間で進む腫れや痛み
発熱
血圧低下
全身倦怠感
嘔吐
下痢
悪寒
筋肉痛
「発熱、血圧低下、全身倦怠感、嘔吐、下痢、悪寒、筋肉痛」については、筆者だとちょっと体調が優れないなくらいにしか思わない症状ですね。
ただ、急な腫れや痛みに関しては、ぶつけたり大きなけがをしていないにも関わらずこのような症状がでれば、異常に感じると思います。
もし重症化に至った場合、進行が恐ろしく早く発熱などの症状がでた後、数十時間以内に多臓器不全などを引き起こすと言われています。
過去に感染した方の症例①
「腫れが全体にわたってきて、血まめもどんどん大きくなって。痛くて、じっとしていられないくらい」
右手の親指に腫れができる。
↓
腫れは2~3時間で手全体に広がり、あまりの激痛のため病院へ。
↓
診断は「劇症型溶連菌感染症」。
「当時『手術になります』『命に関わります』『もう腕を切るかもしれません』と言われた時に、この痛みから解放されるのであれば、もうなんでもいいという感じでした」
この方は壊死した部分を切除するため7回の手術を受けたそうです。
過去に感染した方の症例②
庭仕事をしていた際、足の上に大きな植木鉢を落としてしまい、翌日足が腫れていたため整形外科を受診。
↓
打撲と診断される。
↓
数日後、腫れた足は痛みを伴うようになってくる。
ボーッとするなど意識障害もみられる。
↓
急激に壊死が始まり、劇症型溶連菌感染症と診断を受ける
足を切断するまでには至らなかったものの、壊死の範囲が広かったので足の皮を剥いで、臀部(でんぶ)から皮膚移植を10回程度繰り返す。
日常生活を送れるほどに回復するには1年程度を要した。
感染源、対策は?
こんな恐ろしい感染症とは無縁でいたいと思います。
ではつづいて、感染経路や、感染しないためにはどのようにすればいいと考えられているのか、見ていこうと思います。
まず感染源は
・のどからの感染や傷口からの感染がある。
・飛沫、接触感染で広がる。
ただし、実は感染源不明な場合も多いようです。
対策としては
・傷口からの感染に関しては、小さな傷であったとしても、しっかり消毒や保護をして清潔に保っておくことやが予防になりそうですね。
武見厚労相は1月の会見で、溶連菌は飛沫(ひまつ)感染や接触感染で広がるとの情報発信されており、こちらについては、コロナやインフルエンザの時のように「手指の衛生や咳エチケットなどの基本的な感染症対策」が必要そうです。
感染拡大の原因
なぜ、感染患者が増えてしまったのか。
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もし、7~12月の間の感染者数が激減して、6月2日までの977人であれば年間の感染者数としては近年とそう変わりないかもしれません。
ただあと6か月の間に感染者が0になると考えるのは明らかに不自然なので、間違いなく過去最高記録になってしまうわけですが…
こんなに感染が広がった原因として考えられているのが、コロナ禍の影響。
これまでは感染症対策を徹底していたことにより、菌にさらされる機会が減り、結果として免疫が低下したのではないかと考えられます。
また新型コロナが5類に移行されてからは、感染症対策の行動規制が緩み免疫が下がった人が感染。
さらに、外国から毒性の強い株が流入してきたことも原因かもしれないとも言われているようです。
まとめ
怖がったところで感染症の根絶はできませんが、体内に侵入する機会を減らすなど対策をとることは可能です。
新型コロナの蔓延やインフルエンザを含めた他の感染症にも正しい「手洗い・うがい」である程度まで防ぐことができるとこの数年で証明されました。
劇症型溶連菌感染症は時間との闘いです。
一刻も早く治療を受けることが、生き延びるために重要とされています。
足が腫れている、痛い
高熱がある
ボーッとしていたり、うわ言のようなことを言ったりするような意識障害がある
急に広がる手足の腫れや痛みなどがある
このようなときは自身を守るために、これくらい大したことないと自己判断せず、念のため早めに医療機関を受診するのがよさそうですね。
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